北海道障がい者乗馬センター訪問

10月28日、「特定非営利活動法人北海道障がい者乗馬センター」が主催する「シンポジウム 心身機能回復のための障害者乗馬療法を考える」にうかがってきました。「この分野を医療の領域に定着させたい、この領域に専門性を有する人々が生活できる経済基盤をつくりたい」という代表者、後藤良忠さんの熱い思いによるものです。私のバックグラウンドは障害のある子どもの教育と臨床心理なので、医療の専門ではありませんが、局博一先生(東京大学)からのご紹介で、自分の行っている実践について話題提供させていただきました。

さて、シンポジウムに先立って、後藤さんが運営をしていらっしゃる乗馬センター(札幌市盤渓)にうかがい、実践を見学させていただく機会があり、そのことについてご紹介したいと思います。施設は冬期オリンピック札幌大会時に作られた大倉山ジャンプ競技場近くの豊かな自然に囲まれた、きっとエゾイワナがいるであろう小さな清流のほとりにありました。指導をしていらっしゃるのは、施設長でイギリスRDAインストラクターでもある要海博司さんです。要海さんは、イギリスのRDAで6年間、研修と実践をされていたとうかがいました。

“厩舎前で; 左から後藤さん、要海さん”

 

この日は、シンポジウムにご一緒した局先生と濱口豊太先生(埼玉県立大学)とで発達障害の青年の北海道和種馬を用いた乗馬レッスンと片麻痺のある女性の乗馬の場面を見せていただきました。

女性は、2年前に脳血管障害により左側片麻痺になり、理学療法による訓練を受けていたのだそうですが、現在は特にリハビリテーションを行っておらず、週1度、要海さんの指導で乗馬を行っているとのことでした。

“騎乗直後;後ろからの様子”

この写真は騎乗直後の様子です。アイマスクをつけて身体への集中度を確保し、慢性的な緊張がある不自由な右手で手綱を操作することを通じて、特に上・前腕屈筋群に焦点をあててリラクゼーションを図っていると思えました。そして、間違いなく乗馬の前後で左腕の高さは異なっていました。

“騎乗約15分後;左からの様子”

乗馬後にうかがったお話では、腕だけではなく全身がとても楽になるとのことでした。NPOの名刺をお渡しし、写真を撮ることを承諾してくださったことに感謝して、そのなかの幾枚かをホームページに載せさせていただくことについてもお許しいただきました。

各地に熱心な取り組みがあり、質的な向上や社会的な位置づけを強く願っている方々が数多くいらっしゃることを実感する最近です。このようなななかで、私たちのNPOがどのような役割を果たしていくことができるか、関係の方々と考え取り組んでいく必要があることを痛感します。

(レポート:滝坂)

 

北海道障がい者乗馬センター訪問” への2件のコメント

  1. まさにリハビリテーション医療と馬の世界がまだつながっていない、という日本の現実ですね。もったいないことです。でもいろんなところで質のよい取り組みがなされていることがよくわかりました。すばらしいですね。
    馬の活用はリハ領域こそ最も可能性のあると思います。人間の身体をまるごと動かしてくれるのは馬だけです。しかもリズミカルな動きで散歩をかねた気分転換にもなり理学療法士もとてもじゃないが太刀打ちできません。ガラパゴス現象ともいえる日本のハイテクの世界で誕生したパナソニックの「ジョーバ」は、手軽でどこでもできますがやはり退屈で長続きが難しい。
    さて先日(11月2~3日)、幕張で行われたリハ医学会に参加しました。スポーツ関連の演題は少しだけあるのですが馬関連は皆無です。学会ではいつも併設される書籍コーナーで馬に関するものはないかと物色したのですがここも空振りでした。
    東日本大震災の余波で6月予定の学会が今になったのですが、私が担当したセッションは脳性まひ関連でした。脳科学の進歩やボトックス(ボツリヌス毒素)注射の適応拡大がリハ領域の最近の進歩ですが、処置後のしっかりした運動負荷が重要だという認識がやっと定着してきています。馬の活用はここらあたりから見直される可能性があります。手綱をもつ麻痺手の位置の変化は、効果の評価としてわかりやすいし、まず何よりもご本人がよくおわかりではないでしょうか?

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